「すーぱーそに子 -日本人形-」を手に取って
人形の老舗・吉徳とF:NEXによる「日本人形フィギュア」シリーズ、その第12弾として立体化されたすーぱーそに子の1/4スケールです。
衣装と着付けを手がけた吉徳は、正徳元年(1711年)創業、東京最古の人形店です。六代将軍・徳川家宣公から賜った屋号「吉野屋」と、代々受け継がれてきた当主名「徳兵衛」を合わせた「吉野屋徳兵衛」の略が、そのまま社名の「吉徳」となりました。今も浅草橋に本店を構え、雛人形や五月人形の作り手として、また「人形は顔がいのち」というキャッチフレーズでも広く知られています。その老舗がキャラクターフィギュアに本物の和装をまとわせる——それがこのシリーズの成り立ちです。
そしてもうひとつ、先にお伝えしておきたいのが箱の大きさです。1/4スケールで全高約420mm、裾が大きく広がる衣装ですから当然といえば当然なのですが、箱を保管しておきたい方は、あらかじめ置き場所を確保しておくことをおすすめします。
商品仕様
| 商品名 | すーぱーそに子 -日本人形- |
| 作品名 | すーぱーそに子 |
| 発売元 | フリュー |
| 衣装・着付け | 吉徳 |
| 発売日 | 2025年1月25日(JST) |
| スケール | 1/4 |
| サイズ | 全高約420mm(台座含まず) |
| 価格 | 198,000円(税込) |
| 素材 | PVC、ABS、レーヨン、ポリエステル、アセテート、ボール紙 |
| 原型製作 | やまち(モワノー) |
| 彩色製作 | B_Sachi |
| 限定 | FURYU HOBBY MALL限定 |
| JAN | 4580736409323 |
レビュー
衣装に用いられているのは、京都を代表する織物商「伴戸商店」が製造した金襴です。赤地に金糸で織り出された菊や梅、七宝といった紋様は、角度と光の加減によって刻々と表情を変えます。近づけば金糸の一本一本まで目で追えるほどで、この艶はプリントでは到底再現できません。襟元の重ね、萌黄色の裏地、七宝繋ぎに桜を織り出した金襴の帯まで——吉徳の人形はもとより本物の和服を縮尺どおりに仕立てて着せるものであり、この一体もまったく同じ手順で仕立てられ、着付けられています。造形も仕立ても実に丁寧です。
頭部は櫛、簪、びらびら簪、椿の花と、これ以上ないほど豪華に飾り立てられています。放射状に広がる簪はクリア素材で、光を透かすと色がわずかに抜け、これだけ盛られた髪飾りでも重たく見えません。そに子のトレードマークであるヘッドホンも髪飾りのなかに自然に組み込まれていて、全身和装でありながら一目でそに子と分かります。背面に据えられた金色の飾りには、彼女の顔とヘッドホンを図案化した家紋のような意匠が入っており、正面からは見えない位置にまで手が行き届いていました。
手には三味線と撥。胴は白、棹は木目まで塗り分けた紅色で、糸巻も糸の張りも省略されていません。撥は細かなラメを含んだ淡いピンクで、それを持つ指先の爪まで丁寧に塗り分けられています。ミュージシャンである彼女に三味線を持たせるという発想が、この一体を「和装をしただけのそに子」で終わらせておらず、至高の一品と呼ぶにふさわしい仕上がりです。
そに子の代名詞ともいえる豊かなバストは、和装になってもまったく隠されていません。むしろ襟を大きく抜いた着付けで、鎖骨から胸元までを堂々と見せています。和服は本来、体の線を消す方向に働く衣装ですが、この一体はその逆を行き、布の重なりと肌のコントラストによって豊かさを最前面に押し出しています。対照的に、裾からのぞく足元は白い足袋。そこだけが意外なほど慎ましく、面白い対比になっています。
最後に、手に取る前に知っておいていただきたい点を。衣装が本物の織物である以上、樹脂のフィギュアのように拭き清めることはできませんし、脱がせて洗うこともできません。普段はケースに納めて飾っていますが、埃対策と湿度の管理には、通常のPVCフィギュアより一段の気配りが要ります。
総評
老舗の仕事が、そのままこの一体の説得力になっていました。伴戸商店の金襴、吉徳による着付け、櫛と簪で飾り立てた頭部、そして三味線と撥。和装に落とし込みながら、キャラクターの持ち味を少しも損なっていないのも見事です。飾る場所と普段の手入れの手間さえ確保できるなら、その完成度は期待をまるごと受け止めてくれます。
































